はじめに
1975年10月8日、宗像青年会議所は全国で590番目の青年会議所として日本青年会議所より承認を受けました。本年は50年目という節目の年を迎えます。 宗像青年会議所の歴史を語る上で地域貢献活動は外せません。認承を受けた翌年の1976年には、認承前から行っていた城山登山道の整備に着手しています。1980年代には釣川まつりをはじめとした祭を開催、1990年代からは宗像地区の合併について協議を行いました。2000年、2010年代は行政との連携を強め、青少年の育成事業に多く取り組み、宗像市成人式の運営は10年以上続いています。また、地域が一体感をもって地域の宝を守っていくために、「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群の世界遺産登録へ向けた取り組みもこの頃はじまりました。特に、市民参加型ミュージカル「むなかた三女神記」は、世界遺産登録に大きく貢献する事業となりました。近年では、世界遺産を含む地域の観光資源を活かしたイベントを開催し、さらに多くの方々に地域の魅力を伝える事業を行っています。 この地域では、大規模団地の開発による急激な人口の増加や、宗像市と玄海町、福間町と津屋崎町による合併、「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群の世界遺産登録など、大きな変動があった中で、宗像青年会議所は時代に合わせて柔軟に対応し、地域貢献活動を行ってきました。そして、郷土を愛する若者たちが絶えず活動し続けられたのは、地域の恵まれた環境や素晴らしい先輩たちの教えがあったからだと考えます。我々は、この受け継がれてきた素晴らしい環境を後世へと繋いでいく必要があり、そのためにはより一層の地域貢献活動が必要となります。人は一人では何もできません。今こそ、それぞれのメンバーが協力し合える、より強い組織をつくり、愛する地域のために行動を起こす必要があります。
会員の結束
宗像青年会議所にとって、メンバーの結束が最も必要なことだと考えます。宗像青年会議所には月に一度、メンバーが集まる約束の時、「例会」があります。実際に会って共に活動を行うことでメンバー間の交流が生まれ、信頼関係を深めることに繋がると共に、様々なメンバーと共に活動を行うことは個人の成長にも大きく影響を与えます。 まずは、多くのメンバーが集まり、例会を行うことが大切です。魅力的な事業を構築することも大切ですが、メンバーとメンバーの距離感が参加意欲に大きく関わってきます。仲間なんていらないと思ってこの会に入会をする人はいないのではないでしょうか。はじめは他愛のないことでいい、それぞれが思いやりの心をもってメンバーに接する。そうすると自然に、例会や委員会に出席したいと思うメンバーが増え、笑顔の絶えない楽しい宗像青年会議所がつくられると思っています。 この会の魅力は間違いなく人です。強い絆で結ばれた魅力あるメンバーが、同じ目的に向かって全員で活動に取り組むことで、宗像青年会議所は強力な結束力を持った組織へと成長していきます。
地域の活性
この地域は、歴史、自然、食など、多くの魅力があり、市内外を問わず大勢の方々に愛される街です。2017年には、「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群が世界文化遺産に登録され、さらに多くの方に宗像という地域を認識していただけるようになりました。しかし、その一方で、その他の世界遺産がある地域と比べ、知名度が高いとは言えない状況に加え、昨年までのコロナ禍による旅行客の減少もあいまって、地域に活気があるとはいい難い状況になっています。今後は、この地域の魅力の詰まった観光資源を発信していくことが必要になります。そのためには、この地域にある魅力を再確認すると共に、新たな魅力を発掘する必要があり、さらには、今まで以上に行政との連携を強め、この地域が抱える問題点や、市内外の方々がこの地域に求めることについて知ることが必要ではないかと考えます。本年度は、市内外から多くの方々をお呼びするイベントを開催し、地域の魅力を伝え、「また訪れたい。」「この街に住みたい。」と思っていただけるような事業を構築いたします。
継承と発展
宗像青年会議所は、「我々は、将来の宗像の礎になろう」という理念のもと、日本青年会議所に加盟してから約50年間活動してきた長い歴史があります。この頃から、先輩たちは地域の未来について、その時代に必要なことをとらえて絶えず活動を行ってこられました。常に「将来」のことについて考えてきたからこそ、今日まで想いが受け継がれ、活動が続いてきたのではないでしょうか。宗像青年会議所が活動を行ってきた50年の歴史を振り返ることで想いを受け継ぎ、今、地域に必要な事業を行うと共に、次の世代のために活動を発展させていく必要があります。
青少年の育成
子どもたちには、夢に向かって突き進める、将来に対して前向きな気持ちを持つことが非常に大切なことだと私は考えます。小学生の頃に行った体験活動などの経験は、青少年の成長に長期間良い影響を与えます。この地域には、子どもたちが自然体験を行うのに適した海や山などの自然環境や、文化的な体験を行うのに適した歴史的な遺産、社会体験を行うために適した農業や漁業、地域の企業などがあります。さらには、国内トップクラスの教員就職者数を誇る福岡教育大学を有する地域であり、青少年育成活動に適した地域です。我々はこの環境を活かして、今のこの地域を生きる子どもたちに多様な体験ができる機会を与える必要があります。
組織の拡充
宗像青年会議所への入会者を増やすことは、この地域をより良くすることに直結します。メンバーが増えるということは、この地域を真剣に考えることのできる人材が増えるということだからです。近年は50名程のメンバー数を維持しておりますが、よりよい地域をつくるため、引き続きメンバーの増加に努めます。 また、新しく迎え入れたメンバーの成長は組織の成長に大きく関わります。入会間もないメンバーが何のために宗像青年会議所があるのか、何のために事業や活動を行っているのか、わからないまま取り残されることがないよう、同じ境遇の中でお互いを高めあえるような場所をつくり、新しく入会したメンバーの成長を後押しします。
国際交流
青年会議所には三つの信条があり、その一つに世界との友情というものがあります。我々が行う民間外交は世界からすれば小さなものかもしれません。ですが、世界平和の実現に向けて、それぞれに行う民間外交こそが、多様性が必要とされるこの時代において最も重要なことではないでしょうか。「外国の方が怖いと感じる。」「苦手なイメージがある。」といった感情は、「相手のことを良く知らない。」ということから生まれるのではないでしょうか。まずは、外国の文化をよく知る機会が必要だと考えます。 本年度は、宗像青年会議所と韓国の昌原青年会議所が姉妹締結を行って40年を迎える節目の年となります。近年、新型コロナウイルスの影響により交流を行うことができませんでしたが、本年度はお互いのメンバー同士が直接会って交流を行い、世界平和に向けた国際交流の一助とします。
広報
どれだけいい事業をしてもその事業を知っている地域の方がいなければ、メンバーだけしか知らない、地域に広がりのない事業となってしまい、最大限の効果を発揮することはできません。近年のソーシャルメディアの著しい普及により誰もがいつでも手軽に情報を発信し、得たい情報を簡単に得られるようになりました。情報発信の方法は目まぐるしく進化していますが、最適な広報手段を選択し、より多くの方の興味を引き、わかりやすく情報を伝え、多くの方々に我々の行っている運動に賛同いただける広報活動を行う必要があります。また、多くのメンバーが情報発信に携わることで、宗像青年会議所の運動をより深く知るきっかけとなると共に、宗像青年会議所の情報発信力の強化に繋がります。
おわりに
なぜ、この宗像が好きなのか。 私は、人からよく「なんでそんなに地域のための活動や、青年団体の活動をやっているのか。」と尋ねられ、いつも「なぜでしょうね。」と答えていました。冗談っぽく答えていましたが、自分自身、答えが良くわかっていませんでした。そんな私が宗像青年会議所に入会した理由は当然、「先輩から誘われてなんとなく。」だったので、「この地域が好きなので、この団体で活動を行ってより良い地域をつくろう。」なんて考えは全くありませんでした。しかし、宗像青年会議所で経験を積むにつれて、少しずつなぜ活動を行っているのか考えるようになりました。「生まれた街だから。」「子どもたちに住みやすい街を残していくため。」「地場で仕事をしているから恩返しのため。」理由は様々あります。ですが、根本にあるのは「大好きな先輩が、仲間が、この地域のために必死になって活動していたから。」でした。 「宗像の若者よ、この混迷する宗像に何の生き甲斐を感じるか。この素晴らしい環境に恵まれ、良き先輩をもつ幸せな若者よ、醇風美俗宗像の若者よ、勇気を持って奮起せよ。先輩に負けない人になれ。郷土を愛する人になれ。何事にも感謝し、互譲互助の精神をもって真の日本人のチャンピオンになれ・・・。」宗像青年会議所の発足に大きく関わった、出光興産の創業者、出光佐三氏が宗像の青年に向けて話された言葉です。 我々はこの恵まれた環境、素晴らしい先輩たちを持ちこの地域で活動を行っています。 そして何より、この地域のために真剣に取り組み、一緒に活動を行う仲間たちがいます。 私は、多くの方と共に活動を行ってきました。その一つひとつが私にとっての大きな財産となっているのです。在籍年数に違いはあっても、それはメンバーも同じだと思います。メンバーそれぞれが今まで培ってきた経験や繋がりを活かし、一丸となれば必ず、この地域がより良いものになり、将来の宗像がより豊かなものになります。 本年の活動の中で大変な時は必ずあると思います。ですが、周りには仲間がいることを忘れないでください。きっと協力してくれる仲間がたくさんいます。私はそんな仲間との繋がりを大切にし、楽しい時間を共有していきたいと思います。一年間どうぞよろしくお願いします。